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PRINCIPALITY OF ZEON PROTO-TYPE AMPHIBIOUS MOBILE SUIT
MSM-10 ゾックは、ジオン公国軍が開発した水陸両用MSの中でも最も異様な形状を持っている。いわゆる手足に相当するユニットはあるものの、もはやMSと呼ぶのもはばかられるほど、全く異質な代物となっている。
特に脚部には、機体をザクの数倍ジャンプさせる程の推力を持つ大型ロケットエンジンとホバーユニットが内蔵されており、構造的にもいわゆる"歩行"は不可能だとされている。当然のように陸上における運動性は劣悪で、180°転回の速度が実用レベルに達しおらず、前後がほぼ同一の構造をしているのは、後方の敵機に対応するための苦肉の策と言われる程で、この機体を指して「見かけ倒しでなければいいが」あるいは「局地戦用移動メガ粒子砲座だ」と誇る将兵もいたようだ。
無論、ゾックがこのような形態を獲得するに至るには理由があり、その主たるものは、公国軍においてMA構想が確立してゆく過渡期に設計が進行したためだとされている。事実、水中航行能力に関しては、数ある水陸両用機のなかでも随一の整流効果を誇っている。加えて、メガ粒子砲の搭載数も最多であり、機体の前面と後面に4門づつと頭部に1門の計9門のメガ粒子砲を搭載している。のみならず、反応炉がザク4機分の出力を持っているため、連邦製のビーム・ライフル並に連射する事ができ、その火力は単純計算で当時の公国製MS一個中隊分と同等であったとさえ言われている。本機の生産計画は、MSとしてではなく、小型MAとして考えられていた節があり、グラブロと同様、キャリフォルニア・ベースの艦艇用ドライドックに生産設備が設けられた。
終戦までに生産されたのはプロトタイプの3機のみとされており、1、3号機は北大西洋潜水艦隊"マンタレイ"に、2号機は同じく北大西洋の『マッドアングラー”に配備され、実戦テストが行われた。2号機は後にジャブロー攻略戦に参加し連邦軍のガンダムに撃破されたが、1号機に至っては連邦軍の対潜攻撃機の襲撃を受け輸送中の潜水艦ごと失われたとされている。また、所在不明の3号機が回収されたという説のほか、異なる歩行装備を持つ機体や、実際に"フォノンメーザー"を搭載したバリエーションなどの存在も噂されているが、詳細は不明である。
[組立説明書より引用]
HGUC #081
ゾック
(F)=フィニッシャーズ
(C)=クレオス